* 正しいお金の払い方?! *
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ワタシは以前『日本の人達をせめないで。』で、『日本の人が海外で目の色を変えて買い物に走ってしまう』というコトを批判する意見というか風潮について、『あんまりハゲしいとちょっとはしたないけれども、そうなっちゃうのにも理由があるよ、まぁそんなに責めないでやってよ』という様なことを書いた。

しかし、だからと言って何でも円換算してその土地の物価を歪めてしまう様なお金の払い方はサイアクだ。そういう人には旅して欲しく無いとさえ思ってしまう。

他の旅行者にも迷惑だし、そうするコトによって現地の状況もだいぶ変わって行ってしまうコトだって少なくないからだ。

一人の旅行者がとんちんかんなお金の払い方をしたせいで、次ぎに来た人も又とんでもない金額を要求されたりする。それで次の人も又バカ見たいなお金の払い方をする・・・

そうしているうちに、やがては現地の、最初は旅行者に対する物価が急激に上がるだけかもしれないけれど、そのコトはやがてその土地の人々に色々に様々に影響して行って、たった1年で驚くほど変貌してしまった街だってある。

そういう所は大抵、人々はスレて治安も悪くなり、自然は壊されて街はうす汚れてしまっている。中にはカネ周りが良くなって一見小綺麗になる所もあるけれども、それはごく一部のコトで、裏にまわれば大抵が前よりもっと良くない状況が広がっているものだ。

こうなると「旅行者」は、その土地の人々にとって、只、土地にカネを落とす為だけの忌まわしいモノになって行ってしまう。

そんな所へワタシの様なビンボー旅行者が行ったりしたらたまったもんじゃない。カネはかかるし嫌な思いはするし・・・

なるべく現地の人と同じ様に、できればそこに住んでいるかの様に、ほんの一時だけれどもその土地に寄り添い、そこの文化にふれさせてもらう・・・なんてコトは到底ムリっていうかすごく難しい状況になってしまうだろう。

よくTVなどで、何でもかんでも只、円換算して電卓片手に「安い〜!」等とやっているけれども、あんなのは言語道断だ。

先の『日本の人達をせめないで。』にも前書いた通り、日本は物価も税金も高いしお陰様で円も結構強いから、現地のモノを円換算すると何でも安く感じてしまうのは事実だろう。

でも、そういうヨロコビは、ホテルの部屋でほくそ笑みつつ一人噛みしめて欲しい。決して現地の人の前で大げさに騒いだりしないで欲しいモノだ。

『安い、安い』を現地の人の前で連発するのはな〜んか感じが悪いし、第一その土地の人にあらぬ疑い(日本人は全員すごい大金持ちで、豪邸に住んでお金を湯水の様に使っている、とか)をかけられてしまうことにもなる。

そうそう、TVと言えば、インフレの国で芸能人が文字通り『札びら切って』豪遊するっていう番組もあったなぁ、アレも視ていてすごくイヤだった。

外国のお金、っていうのはまるでディスコ(クラブって言わなきゃダメ?)やアミューズメントパーク内で使う、おもちゃのお金の様に現実味が無くて馴染まないモノかもしれない。

でもそれは、おもちゃのお金なんかじゃない!現場で起きてるんだ!!・・・って違うよ、現地の通貨なんだよ。当たり前だけどそれで生活してるんだよ、現地の人は。

だからその土地の人に成り切れ、なんては言わないしそれはそれでムリもあるだろうけれど、感覚としてはその国の人が国内旅行をする様な感じで旅してみたらいいかな、とは思う。

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旅する人は皆、注意深く現地の様子を観察して、なるべくその土地の物価を歪めてしまうようなお金の払い方をしないで欲しい。

その為には

(1)まず、単純な円換算を止めること、
(2)現地の物価の感覚を早くつかむこと、そして
(3)ボられたりしない様に気を付けるコト

が大切だと思う。

(1)まず、単純な円換算を止める

は、その通り、現地の通貨を円に置き換える計算を止めることだ。

そして本当はコレがどれほどの価値があるのか、そしてそれは現地のお金にしてみると幾ら位なのか、というコトを推測する。

それにはモノの価値や値段を見極める「目」と経験とが必要不可欠なんだけれども、定価になれてる日本の人は、どうもコレが弱いみたいだ。(すごいのは中国の人だ。中国の人は、若い人でも「モノの本当の価値と値段」を見抜く目と、適切な買い物をするテクを併せ持っている。本当にスゴイ。)

でも、そういうのは熟練が必要とするだろうから、まぁ普通は現地の様々なモノの値段や価格を調べて、その関係から推測して行く。その為には

(2)現地の物価の感覚を早くつかむこと

が重要になってくる。

ワタシの旅の師匠は、現地の物価を知る方法として、『玉子の値段』という裏技?を教えてくれた。

それは、玉子の値段は万国どこもだいたい同じだから、玉子の値段を基準にするとそこの物価の感覚が解りやすい、というものだった。

でも、それもかなり旅に慣れてからでないと、結構難しい方法かもしれない。

では、どーしたらよいか?

参考までに、ワタシの具体的なお金の支払い方を示すと、まず、ワタシは旅先では宿屋でも食べ物でも人力車でもなんでも、お金を出す時は必ず1軒だけで決めてしまう、というコトはしない。

何軒も何軒も、同じものの値段を聞いているウチに、だいたいの相場が解ってくるから、最終的にはその中から条件に見合った所へ行く。

でも、まだお金は払わない。

他の人、理想としては現地の人がそこで支払いをするのを視ておくのだ。

買い食いなんかだったら、その人の後に続いて同じ額のお金をテンポよく渡せば良い。相手ものせられてボる間もなくほいほいと品物を渡してくれるだろう。

この方法ならまず

(3)ボられたりしない様に気を付けるコト

はOKだろう。

でも、宿屋や移動に関すること、現地ツアーの申し込みや食堂での支払いだったらもう少し注意が必要だ。

まず、できれば「モノ」を先に見せてもらう。

それから更に詳しい値段を聞く。

その際、提示された料金以外に、その他かかるお金がないかどうか、あるならそれはどんな時幾らなのか、そして最終的にワタシのサイフの中から出るお金はぜ〜んぶひっくるめて一体幾らになるのか、支払いは現金か、T/C(トラベラーズチェック、旅行小切手のコト)か、カードか物々交換か・・・そしてそれによってどう値段が変わるのか(現金だと安く済む場合も多いので)はたまた、まとめ買いしたらどのくらい安くなるのか(宿屋等では泊まる日にちで安くなったりする)・・・

などなどを一つ一つ、きちんと訊いて確かめて、必要があれば紙に書いて確認する。その最、相手に料金を書いてもらうと尚良い。そしてその紙は支払いの時まで必ず保管しておく。

で、自分で折り合いが付かなかったらディスカウントする。この値引き交渉の際にも、先ほど一軒一軒足で稼いだ情報が効果を発揮する。

それで十分自分がナットクしたら今一度品物やサービスをきちんと確かめてから、その時一番良いと思われるタイミングでお金を出す。

ちなみに、お金は1軒1軒値段を聞いて歩いた後、ターゲットの店(宿屋など)に行く前に、あらかじめ人目に付かない所などでこれから支払うだろう金額(もしくは自分が払っても良い理想の金額)を予測して別にまとめておくと尚良い。

スムーズにお金が出せるし、自分の折り合いを付けたい目標金額もハッキリするからだ。

支払いの時に限らず、外国では人前で余分なお金を見せるというコトは、特別な場合を除いてトラブルの元だから十分気を付ける。すぐにお金が出せない場合は、一旦トイレなどを借りて人に見えない所でお金を用意する。


と、以上こんなコトはちょっと(というか大分)手間だが、それも一つの土地の人とのコミュニケーションでもあるし、旅の楽しみというか必要最小限のコト、と考えて是非頑張って欲しい。

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只、アジアの国々など、「相互扶助」の考えが浸透している所ではちょっと注意が必要かもしれない。

「相互扶助」の世界では、人によってモノの値段や価格が違うというか、そーゆーのは「払う人」によって決まる、っていう所があって、つまり全く同じモノやサービスを買うのにしても、ビンボーな人はそれなりに、お金持ちの人はより多くお金を出すものだ、というコトになっている。

だから、現地の人よりも高いお金を要求されたからと言って、只めくらめっぽうにキれたりしてはいけない。

それは売る側が、あなたのコトを(こんくらいは払うべき人だ)と踏んだ可能性もあるからだ。っていうか大抵はそう思われるみたいだ。

いくら自分の日本での暮らしぶりが、現地のフツーの人と同じように、日本という「現地」では、ごくごくフツーに暮らしている一般庶民だったとしても、こうして今、外国で働きもせず遊んでいるワケだから、その土地の人からしてみたら「より高く支払う人」の様な金持ち、ととられてしまってもそれは仕方の無いことなのかもしれない。

だから、只単に儲けてやれ、トクしてやれ、っていう雰囲気でも無い場合には、(まぁそういう時もすごく沢山あるんだけど)頑固に「土地の一般人と同じ金額」をゴリ押しするのも又、考え物なのだ。

お互い嫌な思いもするだろうし、場合によっては相手に全く売る気が無くなってしまって、品物を売ってもらえなかったり、乗り物に乗れないなど、サービスを受けられなかったりという事態になってしまうコトだってある。

こういう時、現地の「より高く支払うべき」人達は、もう十分相場が解っているから、お店の人が何も言わなくても自分の方から適度に「色を付けて」支払っている様だった。

でもワタシ達の場合はそうスマートにはいかないだろうし、そんなコトしたらややもすると先程話した様な「物価を歪める人」になってしまいかねない。

「相互扶助」の世界ではその辺が旅行者の場合、ちょっと難しい。
ワタシもいつもこの兼ね合いに悩まされている。

まず、自分がどんな身分の人であるか解ってもらうというのも大切だろう。

でも、そうも行かない時も多い。

ワタシの目安としては、(大抵は現地の人と同じ金額でなんとかなってしまっていたが、どうしても割り増ししなけりゃならないとなったなら)大体2割増し位までに落ち着けばいいかな、と思っている。

よく食堂などでは「旅行者メニュー」と言って、旅行者にだけ特別高い値段の書いてあるメニューを出される時がある。

ワタシはあんまりお目にかかったコトが無いが、お目にかかった時はそんなメニューは見ない振りをして、でも実はしっかりちゃっかり自分のお目当てのモノの値段だけは確認しておいて閉じてしまう。

そしてお店の人に向かって現地の言葉で「ナニナニは幾らか?」と訊くコトにしている。

すると相手は先ほどの「旅行者メニュー」とは違った金額を提示してくる筈だ。(もし、それでも法外なお金を提示して来たらワタシはそこでは食事はしないで店を出てしまうだろう。)

でも、「旅行者メニュー」と知っていてその金額を支払い通っていた店が1軒だけあった。

そこはとても良心的な屋台で、サービスやメニューを差別したはしなかった。(「旅行者メニュー」は金額だけではなくて、料理の種類や量なんかも違うことが多いのだ。今ここでこんなコト書くとすごくセコいこと言ってるみたいだけど(^_^;)、旅行中はそういうコトに敏感になるし、又敏感にないとダメなモノなのだ。)土地の人が食べているのと全く同じものを食べさせてくれて、只、ちょっぴり(現地の人が食べるよりも)値段が高い、というだけだったのだ。

ワタシはその屋台のお兄ちゃんが、土地の人にこっそり「現地メニュー」の方を渡しているのを目撃してしまったのだけれど、その決定的瞬間に、彼が思わずワタシの方を見て、え、へ、へ、とバツが悪そうに笑ったので、ワタシもえ、へ、へ、と笑い返してしまった。

計算してみると、「旅行者メニュー」が「現地メニュー」よりも2割程高い、ということがハッキリと解ったのだけれども、ワタシはその2割程高い金額にいつもの様に異を唱えず笑って支払った。兄ちゃんもやっぱり先ほどと同じくえ、へ、へ、と照れ笑いしていた。

先ほどワタシが(大体2割増し位までに落ち着けばいいかな)と思っていると書いたのは、まず、自分の身分というか現地での位置付けがだいたいソレくらいで折り合いがつくんじゃないかな、と前々から思っていたコトと、それくらいならまぁ仕方が無いか、と思えるというコトと、後はその屋台の兄ちゃんのエピソードがあったからだ。

それは「旅行者メニュー」を逆手に取った、相互扶助社会での「旅行者」という今一つハッキリしない身分の者が支払うべき金額の、一つの目安となるんじゃないだろうか。

だってそのお店はつまりの所、他のお店の様な

(バカな日本人からボれるだけボってやれ、ボらなきゃソンソン)

という感じが全くしなかったのだ。