* 自 己 啓 発 *
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 ポアにつづいて今度はシャクティ・パッドだ。
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 何年か前、新宿西口地下で「サイコ〜ですか?!」の本を渡された。その本はしばらくは本棚のコヤシになっていたのだが、ある日、あまりに活字に飢えたのでその本を手にとってみた。開いてみる時『ああ、もしかしたら私も今度こそマインドコントロールされちゃうかも』と、少なからずドキドキして読んだものだ。結果、ちゃんと全部読んだのに私は何も変わらなかった。ちょっとがっかり。

 思えば、ダイヤを買えと言われた時も、教本を勧られた時も、カリスマ予備校教師に会った時も、私は何もインスパイアされなかった。私的には私って人は結構そーゆーのに弱そーだと思うし、又、そうだと思われるから今までそーいった沢山のお誘いの機会を与えられたのだと思うのだが案外、強情みたいでちょっと悲しい。

 引き替え、親父はすぐにトランスしてしまうタイプだ。

 Dr.カーネギーの本なんか読んじゃうとソッコーでマインド・コントロールされてしまい、考えてみたら本は自ら読むんだから一人自己啓発セミナー状態と言ってもいいだろう。

 親父の躁状態はだいたい2ヶ月位「もつ」。

 その間の親父は正に"良きパパ"で、まんま『三井のリハウス』のCMに出してもおかしくない様ないい人ぶりがつづく。そして自らも「お父さんは変わったんです。生まれ変わったんですっ」などと満面の笑みでそのトランスぶりを吹聴して廻るのである。

 でも、すぐに冷めて愛人に貢いだり私を殴ったり母を閉め出したしたり意地悪したり嫌味を言ったり嘘をついたり何か企んだり目論んだり、そのくせ自分は涙をこぼしたりし始める。すると自分としても苦しいので、そうした自分から脱出する何かを一生懸命探す。

 そして又『運命の一冊』に巡りあったり、スポーツタイプのチャリンコに乗ってみたり、冬山に登る準備をしてみたり、その直前でビビって登らなかったりする。つまり、親父はいつも一人自己啓発にほだされては冷める、の繰り返しなのだ。

 そんな親父の『いい人』期間を私等家族の者は「どーせまたすぐ戻っちゃうんだから」冷静に受け止めている。「お父さんはちっとも続かないんだから!」

 大学在学中、例の地下鉄サリン事件が起きた。私が在籍していた超マイナーなサークル『宗教研究会』も新メンバーが増え、その研究内容も随分変わって行った。その集まりの時、宗教学の先生が「通常自己啓発セミナーなどに参加した人のマインド・コントロールというのは、殆どの人がだいたい二ヶ月位で自然にとける。ところが、○%(忘れた!)位の人は二ヶ月過ぎてもそのままとけずに、そのうち精神的に支障をきたしてくる。」とゆーよーな事を言っていた。

 すると、ずっとキ○○○だと思っていた親父は精神的には案外健全だったとゆーことか。

 親父の「いい人」状態も二ヶ月を過ぎた辺りから、だんだんイニシエーションとかVXガスとかサリンとかそーゆー事になっていたのだろーか?

・・・だったらまぁ、二ヶ月でリセットされてもいーけどさ、いー加減そのダメダメな方の自分を受け止めろよ、スーパーマンの二ヶ月間の方じゃ無くってさ。もぉ、56だろ?親父。