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ふぁいるでーた

風をあつめて。〜旅行記編〜その07・平生町の平穏


通しNo .01007
〜なはなし
〜のはなし
旅・せかい
せかい
旅全般・旅行記「ダラ」
〜のころ
すなふきん(前半)
とき '92 7月-'92 10月
メルマガ配送日
 2002/08/19号


風をあつめて。〜旅行記編〜その07・平生町の平穏

*このお話しは続き物(連載)です*
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<1991年7月31日 鑑真号>

〈七月三十一日のメモより〉

せんたく、フロ、PM2〜3時頃はくこと2回
ルームメイトの美人♀よい止めもらい。牛乳とカップ
ヌードルチャイナかってきてもらう。

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乗船した夜は船の中のゴハンを食べた。食堂は狭く人がごったがえしあふれかえっていて、食器はアルマイトのおぼんの様な四角い一枚の大皿でまるで小・中の給食で使ってた「食器」(*11)みたくいくつかの間仕切りがあり、皿の縁はキズの白い模様で縁取られ微妙に情けなく波打っていた。

コロッケ、ごはん、スープを取るが食べる場所などなく、いやもしあったとしても酔ってしまって食べられなかったろう、甲板で上を向きながらなんとか食べる。

出港も大幅に遅れたし、乗船食事のてんやわんやですぐ夜になってしまったが、夜も夜で身の置き場など無くどう横になっても気持ちが悪く、次ぐ朝からはあんまり酔い方が酷くて同室の米国人の女性が色々親切にしてくれた。

乗船二日目(七月三十一日)いよいよ船酔いが酷くなって来て、何故自分が乗り物に弱いというコトを、バスは乗った瞬間にあげっぽく(吐きっぽく)なり学校の遠足では常にバケツリレーに席替えで、教習所では自分でクランク切りながらもどしてたっていうのに、なんだってそんな当たり前のコトを自分は忘れていたのか、

ケニアに行った時(*03)、南周りの安い飛行機で経由経由で行くのだけで足かけ二日がかり、死ぬほど酔ってしまって帰りは船で帰る、とごねたコトがあった。でも今思うととんでもない、船だったらもっともっと長く苦しんだことだろう。

船にあまり馴染みが無いせいなのか、「船も酔う」、いや「船こそ酔う」、というコトを忘れていた。確か中学三年の修学旅行が松島で、その時も遊覧フェリーに乗って酔ったではないか、何故すっかり「船は酔う」というコトを忘れていたか、本当に嘘の様にずっぽ抜けていた。

多分、ケニアの飛行機酔いが本当に酷くて酷くて行きの飛行機の中で帰路の交通手段はともかく飛行機以外の方法で、と朦朧とする頭の中船でののんびりと何ヶ月もかけて移動する様を二十時間も思い描き夢想して過ごしてたからその時のイメージトレーニングの映像が鮮烈に印象付いてしまっていたのだろう。

同室の米国人の女性は確か静岡だったか茨城だったか、それとももっと田舎だったか、なんでまたそんな所へ一体どんなご縁で?と聞きたくなる様なとこに一年だったか二年だったかホームステイしていて、船内のお風呂に入って赤くなったほお骨に満面の笑みを浮かべ

「オフロ、ダイスキ!」

と本当に幸せそうな顔をした。それでそうか、フロか、とフロでも入れば気分が治るかと思って安易に風呂場へ行く。

お風呂は(確か)山吹色よりちょっと茶色に近い黄色い小さな小さな石を敷き詰めた、いや、石というよりは丁度お菓子の「おこし」みたいなブロックというかコンクリというかそういうので床からそのまま塗り固められていた。つまり、床と湯船が続いてて公園の噴水の様に床から丸い湯船が生えているのだ。

浴槽も風呂場も脱衣所もおせじにも綺麗とは言えず、彼女、よくこんなとこへ入ったなぁ、こんなフロでもあんな幸せそうになっちゃったんかなぁ、このフロが日本のフロと思われるのはちょっと心外だなぁなどと思ったのもつかの間、

窓の無い、銭湯で言うとちょうど富士山が描いてある辺りのオレンジのペンキで塗りたくられた壁というか窓というかを見てたら余計に酔いが酷くなって来てしまった。

あわてて湯船を出てトイレに行こうとするも揺れと貧血でウマく歩けない。這々の体で脱衣所へ行くが行くだけでへばってしまう。

しばらくすると中国人の女の子が外から走り込んで来て、目の前の掃除用と思われる、恐らく病院に入院した方なら目にしたことがあるだろう、よく病院のトイレにある汚物を流す、便器の様な四角いシンクの様なものへげろーっと吐いたかと思ったら吐いた身体を起こしたその勢いのまま何事もなかった様にけたたましく出ていった。

本当にあれよ、という間の出来事だ。

そうか、あのシンクは掃除用じゃなくて吐く人用のものだったのか???

吐いた彼女はその後戻って来なかった。私はてっきり何か理由があって慌ててとりあえず出て行ったのだと思っていて、又手を洗うなり口をすすぐなり戻って来る様な気が、意識はしてなかったけどなんとなく、当然というか無意識にそんな風に思うともなく思っていたのだが。

それ程彼女の行動は唐突で、何か中途で出てった様な感じすらする吐きっぷり、立ち去りっぷりであった。
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つづき:<1991年7月31日 甲板にて>


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