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まぐまぐ・ID21973


ふぁいるでーた

新品(さら)の威力


通しNo .00013
〜なはなし
ひび・よしなし事
感想・思った事
〜のはなし
喰いもの・せいかつ
せかい
日本の各地
場所指定無しその他
〜のころ
るんぺん
とき 記載しない
メルマガ配送日
 2002/03/04号


新品(さら)の威力

20年ぶりくらいに自転車を買ってもらった。

「買ってもらった」って所がミソである。

イイ年ぶっこいた大の大人がしごく恥かしい事ではあるし、別にねだったって訳でもないのだが、まぁ、ともかくいきさつがあって「買ってもらった」。

新しい自転車は「B−3」と名づけた。通称「バカ」。

バカ(売り屋のにーちゃんがものごっつバカだった)、blue(車体の色とワタシの名前から)、あとナニか(*1)のB。

この"3つのB"と「3」っていう数字が好きで、あとC-3POともかけた様な気がするけどもう覚えてない(*1)や(2002.03.02現在)。

今(2000.09.24現在)、自分の手元には「バカ」があって、それが予想外に自分は嬉しいらしい

いつもは電車を使う様なおつかいも、自然にすすんで「バカ」を使ってるし、

「バカ」に乗るとうきうき、スイスイと自然とスピードがノってたり、本当はいけないんだろうけれど人通りの無い道になるといつの間にかあっちこっちと悪餓鬼みたく自転車でスラロームしてるし。

腹のそこから、というかペダルを漕ぎながら知らず知らずのうちになんだか爽快で浮かれてる。

ワタシはかつてひどい頭痛持ちだったことがあって、もう毎日頭痛がしているのが当たり前で、ある日、なんかヘンだな、今日はヘンだ、何がヘンなんだろうと思って考えてみたら、

今日は頭が痛くなかったのだ、なんて事があったんだけれども、

「バカ」の愉快さはそんな風に無自覚かつ地味にワタシを良い気分にさせてくれている。

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ところで、ワタシは久しく「新品」というものにお目に掛かってなかった。

もともとそれ程買い物はしない方(バックナンバー『ひさびさにモノを買う。』をご参照下さい)だし、何か要り用のものがあってもまずは「お古」を探す。

そしてそれは大抵手に入ってしまうのだ。

「物を大切に」なんていう言い方が説教じみて辛気臭くなって、洒落て「地球にやさしく」「リサイクル」なんて言って見た所で所詮は何でも使い捨てて拡張せんとする資本主義の世の中だ。

それで元来「お古」好きのワタシはその恩恵にあやかって、今結構不自由なく暮らしている。

そんなだからワタシの暮らしでは、本当に滅多な事では「新品」にはお目にかからない。

自転車だってそもそもは実家にあるもう殆ど用済みになっちゃってる祖母の物を持って来ようとしていたのだがなんのかんので新しいのを買ってもらうことになってしまったのだし。

実際に「バカ」を使ってみるまで、ワタシはこころの中ではずっと(ばあちゃんので、良かったのに)と思っていたし、

そんなだったから折角の買い物の最中も始終あまり良い気分はしていなかった。

でも、お金を払って書類を書いて防犯のシールを貼ってもらってひとたび「バカ」を漕ぎ出してみたら、こころのそこの方から何かが浮き上がって来るような気持ちになった。

「新品」にはなにかそんな不思議な力があるのかもしれない。

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ワタシは今までまだ使えるのに何かを捨てた事は無い。と思う。多分。

まだ着られるのに流行遅れだから服を捨てるとか、まだ映るのに走査線が少ないだのステレオじゃないだのでTVを捨てるとか、そういう事は一度も無い。(恐らく。覚えている限りでは。)

本人すら一体誰に頂いたのか忘れてしまった位昔の服を着てて突然、「お古」の主から「あーコレー!なつかしーっ」などと感嘆されたり、

小学校に上がった時に母に縫ってもらったハサミ入れを未だに使ってたりする。

だいたいエンピツ削りなんて明治生まれのじーちゃんが福引きで当てたとかなんとかという電化のハシリみたいなシロモノを依然として使っているのだ。(ちなみにナショナル製。当時の松下の技術はスゴいね。)

そんな風にワタシは「まだ使えるウチから」それと同じ新しい物を買う人の気持ちがいまひとつピンと来ていなかったのだが、

そうか、もしかしたらみんなはこの「新品」の持つ不思議な力を「何か」に利用していたのかもしれないな、と思った。

そう言えば風水ではサイフの寿命は三ヶ月とかなんとか言ってたな。やっぱり新しい物にはナニか得体の知れない魔力が備わっているのかも知れない。人のこころを動かしたり、支えたりする、ナニかが。

だからお街のショウウィンドウでは新しいモノが常にくるくると様変わりしてて、その威力を世に向けて発散するべく自信満々誇示するかのごとくに光にまみれてそこに収まっているのだろう。

でもそんなに年がら年中モノを買い換えて、「新品」の力にしょっちゅうあやかっていたら、その魔力というか"効き目"みたいなモノは弱くなったりはしないんだろうか?

もしくは例えそうでも良いからどんどんその力を借りないとやってゆけない位、世の人達はくたびれているんだろうか。

それともワタシには想像もつかない喜びや必然や用途がそこにはあるのだろうか。

・・・母に腹の底から「(新しい自転車)どうもありがとう」という電話をしながら色々思った。

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*この二ヶ月後、この自転車乗ってて撥ねられて一ヶ月も入院して自転車は大破して、本人も大破して、この自転車の事はツライ思い出になってしまって、多分、忘れようとして忘れてしまったのだと思います。
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