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ふぁいるでーた

香港の韓国料理屋で


通しNo .00025
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とき '92 7月-'92 10月
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 2002/03/22号


香港の韓国料理屋で

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このお話しは三話読み切り連載になっています。
第一話『香港の英国式病院で』 第二話『香港の韓国料理屋で』
第三話『香港の日本語学校で』

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そんなこんなで治療費を立て替え払いしながら香港で働いてみる事に決めたワタシ。

最初、ある日本人の経営するレストランにやとってくれないかと行ってみた。

そこの経営者の日本人のオヤジは、なんだかやとってくれる様な事を言って「店が終わるまで待っててくれ」とか言い、

それでしばらくワタシは待って、やがてオヤジは店を閉めワタシを韓国料理屋に連れて行ってくれた。

朱い壁に赤い提灯、朱いでっかい円卓でオヤジと差し向かいで食事した。

その韓国料理は、初めて見るステンレスのおおきなお椀の様な器に、ご飯と色々な具が入ってて、それをやっぱりステンレスのながーいおたまみたいなスプーンでかんまして食べる料理だった。

多分、(今思うと)肉が喰えないと言ったワタシの為にピビンパか何かとってくれたんだろう。

朱色の部屋でゴハンを食わされて、なんかだか一口喰うごとに、どうやら塩梅が悪いらしいというのがより確信に近づいて行くようで、

最後には、なんと言われたんだろう、オヤジは食事が終わってお金を払い、馴染みの店らしく広東語だったろうか、韓国語だったろうか、店の人と外でニ、三ことばを交わし、

そうしてワタシに何か言って香港の暗闇に去って行ってしまった。

要するにオヤジは最初から人を雇う気などさらさらなかったらしい。「面接」代わりに食事をしたという様子でも無く、席についた時から旗色は悪かった。

でもどうしてだか最初は良い事言っちゃって、それをごまかす為にワタシを食事に連れて行ってくれた、というのがほんとのとこらしかった。

それならそうと最初から言ってくれたら良かったのに・・・ワタシはオヤジを待たなかったし、だから食事もご馳走にならなかった筈だ。

もしオヤジがワタシを気の毒に思ってご馳走してくれたのならそれは嬉しいことだけども、

でもそれなら「雇えないけどご馳走するよ」と言ってくれたらもっと気持ち良く初めての韓国料理を喰えたのに・・・

一体どうしてその気もないのに雇ってやる様な事を言ってワタシを待たせ、期待を持たせ、飯を喰わせ、ワタシの事情を聞いたのか。

・・・だからワタシは未だにあの韓国料理のぴかぴかする食器を見ると、いつもこの時の事を思い出して胸の所がもやもやする。

本当の事を言ってくれるのが一番良い、嘘をつかれるのもしかたがない。ワタシも嘘をつくし。でも、ごまかされるのは嫌だ。

ずっとずっと腑に落ちないでワタシの気持ちをもやもやさせるから。いつまでもあれはなんだったんだろうと思ってしまって、忘れられないから。




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