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まぐまぐ・ID21973


ふぁいるでーた

香港人


通しNo .00030
〜なはなし
感想・思った事
考えた事・熱く主張
〜のはなし
旅・せかい
家族・ひと
せかい
香港(返還前)
〜のころ
信組職員2
すなふきん(前半)
女子大生
とき '87 9月
'92 7月-'92 10月
'96 3月
メルマガ配送日
 2002/03/29号


香港人

どの位、香港のものを食べて香港でうんちをしたら、全ての身体の細胞がメイド・イン「香港」になるのだろう?

どの位、香港で寝て起きて、香港で売っている物や香港でもらった物や香港で拾った物(*1)を身につけたら、自分が「香港」でケイセイされてくるのだろう?

どの位、香港で働いて香港のお金でお給料をもらって香港にお金を落としたら・・・

どの位、香港にまみれ、どの位、香港にもぐり、どの位、香港に寄り添ったら・・・

・・・「香港人」になれるのだろう?

それはちょっとやっぱり見当がつかないけど、どれだけワタシが「香港クサく」なろうとも、

それは、

市場で香港のおばやんの大群に混じって破格値のパンツを引っ張りっこしたり、土方のオヤジに混じって晩飯喰ったり、おじーちゃん達に混じって夕涼みしたり・・・

しているワタシを見て、出会う日本の人達は、「もうすっかり香港人だね〜すっごく馴染んでるよ」と感心したり、

「現地の人ともう区別がつかなくなってるからボられないんでしょ」なんて恨めしそうに言ったりするけど、

とんでもない。

確かに、真摯な旅行者の多くは「香港」の熱にヤられ、「香港人」の気にアタって心身共に疲れ切っている。ワタシの友達なぞは「どうしてみんな怒ってるのっ?!」と半泣きかつ憤ってたし(*2)

そして観光客の多くは「お客様」扱いで不当なお金を払ってもそれに気付かず、「案外物価が高いのね」「あんま見るとこないわ」なんて冷房に当たり過ぎて涼しい顔をしているし。

・・・というのと比べたら、ワタシは大分香港化が進んでいると言えるのだろうけれど(なにしろ香港以外の土地でも、外貨を買う時無意識にHK$立て(*3)でケイサンしてしまう位だ(^_^;))、

でもだからと言って、香港の人達は、ワタシが香港人に見えているから(*4)ワタシの「外国人」扱いを免除してくれているのでは無い。

ワタシはどこまでも香港に住んでる人達にとってみたら「変な日本妹(やっぷんむい)(*5)」だ。

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こんな事があった。

日本語学校で教師の仕事をしている時、現地スタッフに食事に誘われてついて行き、油麻地(*6)のYMCAかなんかで若い香港人のスタッフを中心に7、8人で気取って洋食を食べた。

そもそも、その食事について行った事自体が後から考えたらマズかった。(ごめんなさい。)

通常なら誘われても遠慮するべき所だったの(だと思う)を、事情も良く解らずにのこのこついて行ってしまった。勿論、日本人はワタシ一人。

でもスタッフの方々は場違いな感じのワタシを気遣ってか、積極的に話しかけて来てくれていた。

多分、彼等は他に何か目的があって集まったのかもしれないのだが、場はなんかワタシをちょっとちやほやする感じになって来てしまってて、

そのうち香港びいきのワタシの事をみんなして「先生(*7)はもうすっかり香港人みたいですね」「ほんとほんと、香港人みたいですよ」とか何とか言って囃してくれていた。

ワタシもお世辞と判りつつ、でもついついへらへらしてしまっていたのだ。

その内に用事のある女性が一人先に帰るのでみんなで見送りなぞしている時、そのどさくさに紛れる様にある女性スタッフから、

「アナタはてんっけー的な日本人ですッ日本人にしか見えませんねー」

と日本語で言われた。

彼女の、これでもかと上から見下ろした目つきには、少々の嫉妬と心からの侮蔑が満載されていた。

が、真実は彼女の言う通りだ。

多分、彼女はその時(他の用件で集まった?のにも関わらず)その集まりの中心でおだてられてのぼせてるワタシを見て、相当頭に来ていたのだろう。

しかし、彼女の言った事は本当だ。嫌と言う程、痛い程、知っている。そんな事は。

どんなに頑張ってもワタシは「日本仔(やっぷんつぁい(*8)」なのだ。「香港人」(ひょんこ°んれん)にはなれない。

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「香港人」とは一般に「香港に住んでる中国人」もしくは「香港で生まれた中国人」((*9)を差している。

アメリカと違って、中国人が人口の殆どを占める香港にあってそれはしごく当然のこと。

特に日本人はかつて香港や中国でそれは酷い事をして来たから、日本人であるワタシが「香港人」として仲間に入れてもらおうなんて言語道断、

とんでもなくおこがましい、いや、甚だずうずうしい事だ。(それはよくよく解ってなければならない。)

でもそれでも、

香港に住む人達はワタシを「日本仔」と知りつつ、「外国人」扱い、いや、「観光客」扱いの手を「ここに居(お)るならしゃーないな」って感じにちょびっとだけ緩めてくれた事もあった。

それは、香港が誰の物でもない、借り物の土地(*10)だという事と無関係じゃー無い様な気がする。

一般に「香港人」と自他共に認める人々だって「香港に住んでる中国人」だ。

統治(って言っちゃダメかな)しているイギリス人だって「香港に住んでるイギリス人」だし、

それを言ったらワタシだって「香港に住んでる日本人」なのだ。(イリーガルだけど(^_^;))

そもそも、当の「香港人」ご自身も、ご自分の事はふつーはふつーに「中国人」と言う。(ワタシ達にお馴染みの元?「香港人」スタァ、アグネス・チャンさんもTV等でそう言っているので今度注意して聞いてみて下さい)

ここでは誰もがヨソモノで、肩を寄せ合い押し合いへし合い一生懸命核融合みたいなエネルギーを爆発させながら、見栄なんかも大いに張りながらもでも、案外つましく生きている。

「香港」という誰の物でもない、言い換えれば「みんなの香港」という土地では、三泊四日のツアー客ですら、「香港」の一部なのかもしれない。

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そう考えるとあの面倒なVISAというのはなかなか理にかなっている気がする。

その範囲内に置いて滞在している分には、こっちは良い塩梅に見たいモノだけを見て去ってゆき、

テキも見せたいモノだけを見せて、程良くお客にお引き取り願える。

VISA(*11)の延長を繰り返す度に見えてくるものがある。それはどの土地でもそうだった。

勿論、それを見たいと強く強く願い、その代償を払うカクゴと気力と体力があれば、の話しだけれど。

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(*1)拾った物
香港ではよくモノが落ちてます。ワタシもだいぶ拾って使ったり売ったりしました。よければ→『香港。返還前の香港を想う。』  (本文へもどる)



(*2)「どうしてみんな怒ってるのっ?!」よければ→『ナゾのジャパニーズ・スマイル』  (本文へもどる)



(*3)HK$立て
普通は日本の人は円換算しますよね(^_^;)。

ところで、円換算(というか自国のお金に外貨を換算してケイサンして買い物等をする)クセは実は意外な弊害があります。

それはHK$立てなら良いとかじゃなくって、現地のお金の感覚を養わなければ、という事です。よろしければ→『正しいお金の払い方?! 』をご参照下さい。  (本文へもどる)


(*4)ワタシが香港人に見えている
ことは通常ないんですが、大陸から来たお上りさんにはよく中国人だと思われて道を訊かれました。彼等は世の中全部が中国人で覆われていると思っているのです。

でも香港では一度だけ実演販売のおっちゃんにイキオイ良く返事を求められた事がありました。あの一回だけは、ワタシが「香港人」に間違えられてたみたいです。でもほんとその一回だけです。  (本文へもどる)


(*5)日本妹(やっぷんむい)
「日本人(女)」の差別語。詳しくはこちら。  (本文へもどる)


油麻地(*6)
香港、九龍側の地域の名前。都内で言うと・・・うーん、何処だろう???ご意見お待ちしてますm(_ _)m。  (本文へもどる)


先生(*7)
ワタシは一時期香港で日本語講師をしてました。詳しくは→『香港の英国式病院で』で(^-^)  (本文へもどる)


(*8)日本仔(やっぷんつぁい)「日本人」の差別語。詳しくはこちら。  (本文へもどる)


(*9)香港に住んでる中国人」もしくは「香港で生まれた中国人」
前者は中国籍、後者はイギリス籍になるが、中国籍と言っても中華人民共和国籍でも台湾籍でも無く、イギリス籍と言ってもイギリス本土籍では無く、イギリス植民地籍らしい。  (本文へもどる)


(*10)借り物の土地このお話しの「香港」は1997年の返還前の事を書いています。  (本文へもどる)


(*11)VISAかつて、日本人は香港にノービザでは一週間しかいられませんでした。その後一ヶ月になり、現在(2002年3月現在)では三ヶ月(!!)になっている様です*渡航の際には必ず各自で確認して下さい。  (本文へもどる)

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