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まぐまぐ・ID21973


ふぁいるでーた

恐るべし・・・


通しNo .00083
〜なはなし
どたばた・とほほ
〜のはなし
時事・しゃかい
せかい
日本の各地
場所指定無しその他
〜のころ
ナース卵
とき 記載しない
メルマガ配送日
 2002/11/22号


恐るべし・・・

現在、日本で「ナース」になる方法は、実は色々あるのですが、ワタシの場合は高卒後(地元の信用組合で三年働いた後)二部の准看護学校(*1)に通いながら病院で見習い看護婦として働くという方法でした。

学校は二年で、通常の授業は午後一時〜四時半頃だったと思います。実習などはその時によって朝から一日だったり、午後からだったり午前だけだったりしました。(実習の時は各自割り振られた病院に行きます。)

しかし、ワタシの学校は病院勤務が義務づけられていたので結構ハードです。ニュアンスとしては学校に行きながら働くというよりは「勤務を抜けて学校や実習にいかせていただく」と言う感じでした。オマケに県下でも有名な?実習の多い学校だったので、その二年間は本当に大変なモノだったのです。

ワタシは外来だけの病院に勤めていたのでまだよかったのですが、クラスメイトなどは、夜勤→一日実習→夜勤→日勤→授業・・・という具合に「もう三日も家に帰ってないの・・・」という状況で実習している、なんて子もいました(^_^;)。

しかも実習前には必ず予習、レポートがあって、それを実習先の病院に提出しなければなりません。彼女等は、みな、夜勤の合間などにそれらを準備せねばなりませんでした。

・・・とまぁ、そんな学校に通っていたある日、ワタシは学校帰りに自転車に乗っていて車にはねられてしまったのです。

当然(?!)かつぎ込まれたのは一番近くの学校の附属の病院(っていうか学校が病院の附属ですよね(^_^;))首を捻挫してICU(集中治療室)に二晩、その後は一般病棟で寝たきで一ヶ月を過ごしました。

とにかく、首を動かしてはイケナイというのでお風呂や排便はおろか、首を固定されたまま、寝返りだってうってはダメだというのです。くる日もくる日も病院の、ぼつぼつと穴の開いた白い天井ばかりを見つめる日々・・・

しかも、お下の世話に来て下さるのは、クラスメイトだったりするワケです・・・嗚呼。

そんなある晩、ワタシは妙な夢(といってもその時のワタシは夢だとは思っていないのですが)を見ました。

夜、ワタシが大部屋で寝ていると、ワタシのベッドにおじいさんが入って来ます。(ああ、二つ向こうの部屋のお呆けのおじいちゃんだ・・・)とワタシは直感しました。しかしその内、そのおじいちゃんはワタシのカラダの上に乗って来たのです!

ひゃ〜っ!と思って横を見ると、なんとそこには野戦病院が・・・

ワタシのベッドの横からは暗い空間が広がり、そこにはサビたパイプのベッドがいくつも並べられ、床は木で、皆負傷して唸っているのです。

声を失ったワタシは今度は正面を見ました。すると・・・

目の前の暗闇には青白い炎が・・・そしてその炎はカタチをなしていて、(今思うとそれは)丁度お釈迦様が蓮の上で座禅を組んでいる様子です。しかし、その時のワタシは咄嗟に

印度人っっ!!!

判断するが早いがナースコールボタンをめいっぱい握りしめました。

「どうされました?!」駆けつけてくれた先輩ナースに対しワタシは、しごく真剣かつ真面目に

「印度人のオバケが出たっ!」

訴えたのです。

・・・しかし夜が明けて朝になってみると、やっぱありゃ夢だよなぁ、と冷静になってみたり。バカだねアタシも(^_^;)。

そして朝日の中、いつもの日常が始まり、いつもの様に検温があって朝食が配られ、そしていつもの様に朝の点滴が始まる頃、なんとワタシのベッドにわざわざ主任さんが現れて、ごくごく真面目に

「ちはる。さん、オバケ見たんだって?!

・・・はぁ。

午後になると今度は婦長さんが登場。やっぱりしごく真面目なご様子で、

「ちはる。さん、あなたオバケみたんだって?!

・・・嗚呼。

ナースというのは「申し送り」というのをします。勤務形態は病院によって違いますが、ワタシが入院していた病院は日勤、準夜勤、深夜勤と三交代だった様です。

その勤務と勤務の引き継ぎにやる儀式がナースの「申し送り」です。要するに自分の勤務時間に起こった事、各患者さんの記録、これから注意しなければならない点、等々を伝言ゲームの様に次の勤務の者に伝えて行くのです。

恐らく、ワタシのオバケ騒動もこの「申し送り」によってナースの間にどんどん(無論大マジで)引き継がれて行ったのでしょう。

場合によると、「χ号室の猫ちはる。さんは本日午前四時半頃、「印度人のオバケが出た」とナースコール。精神的混乱が見て取れ、それが直接事故で受けた衝撃によるものなのか、あるいは精神の異常によるものなのかは不明、以降、十分な経過観察が必要。」などと「申し送ら」れていたのではなかろうか。

・・・おそるべし、「申し送り」。

結局、次の日の昼までワタシの「印度人のオバケ」騒動(?!)は続きました。多分、一日半でここのスタッフが一順繰りして、全てのナースがこの情報を「申し送ら」れたのでしょう。

・・・ワタシとしては病棟のすぐ隣にある学校の職員室へその話しが「申し送ら」れやしないかとヒヤヒヤしましたが、幸いそういう事はなかったようです。

いっくら附属の学校の生徒といえど、患者は患者。「患者の秘密保持」という大原則は守られたようデス。

 われはここに集いたる人々の前に厳(おごそ)かに神に誓わん─

・・・わが任務(つとめ)にあたりて、
      取り扱える人々の私事(しじ)のすべて

 わが知り得たる一家の内事(ないじ)のすべて、
               われは人にもらさざるべし。・・・

(「ナイチンゲール誓詞」(*2)より一部抜粋)
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(*1)准看護学校
と、准看護士については、『てんし、たち。−χちゃんと、89人の天使たち−』の()にちょっと詳しく書いてあります。宜しければ。  (*1)にもどる

(*2)「ナイチンゲール誓詞」
ちなみに全文はこうです。(改行はワタシがてきとーにやってます)
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われはここに集(つど)いたる人々の前に厳(おごそ)かに神に誓わん─

わが生涯を清く過ごし、わが任務(つとめ)を忠実に尽くさんことを

われはすべて毒あるもの、害あるものをたち、悪(あ)しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。

われはわが力の限りわが任務(つとめ)の標準(しるし)を高くせんことを努(つと)むべし。

わが任務(つとめ)にあたりて、取り扱える人々の私事(しじ)のすべて

わが知り得たる一家の内事(ないじ)のすべて、

われは人にもらさざるべし。


われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸(さち)のために、身を捧(ささ)げん。


(*2)にもどる


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