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ふぁいるでーた

星々と赤土のあいだ。-Under the ozone hole.-


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とき '92 7月-'92 10月
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 2002/11/29号


星々と赤土のあいだ。-Under the ozone hole.-

「もう旅はしないのですか?」というお便りをしばしば頂きます。

「もう外国へは行かないのですか?」と問われたら、「ドイツに二、三年行きたいけど、それは旅で行きたいんじゃないし、それに第一まだその時期じゃないんだ」とお答えするのですが、

「旅」と言われたら、「今もずっと旅に出てるんですよ」と答えてみたい所。あの例の旅以来、ワタシはいつでもどこでも旅気分、という滅法お得な体質になってしまったんですね。

わざわざ外国まで出向かなくても、今住んでいる周りにも知らないことや珍しいことや知りたいことが沢山沢山あって。いわば「旅する気持ち」があまり乾かないのです。

そりゃ、たまーにさすらいたくなる時はありけどね。パスポートに米ドル用意したりすることもありますけどね(^-^)
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豪州で不法就労してる時、危うくイミグレーションにしょっぴかれるという目に遭った(そのへんのことは、『長期旅行者のかてごりー』等に。不法就労はイケナイことです。真似しないで下さいね)。

それでまぁ少し大人しくしてようということで、ワタシは勤めを辞めて地元の無料英語学校に通ったり、「国内旅行」──つまりその時はベースが豪州になってしまったので、豪州内の旅行はそうなる訳で(^_^;)。──を楽しんだりしていた。

そもそも、ここ(豪州)へは初めから稼ぎに来た訳だから(その辺りの事情は『旅の、ことば。「伝わる」編』等に(^_^;))、最初は旅行とかそんな悠長なことなんて考えられなくて、(だいたい豪州についた時二十ドル位しか持ってなかった気がする。)がむしゃらに只稼ぎ、

でもふと気付くとビザの残りも少ないし、金もそこそこ貯まっているしでここへ来てやっとムズムズと旅人の血が騒ぎ出し、ちょっと「旅行」してみよっかな、という気になったのだ。

そうと決まればなればやっぱり「地球のヘソ」、ウルルエアーズロックのこと)はハズせないでしょう!

早速師匠とプランニング。旅行の計画はいつもなんとも言えずに楽しい。

色々ケイサンして結局「キャンプしながらウルルまで行くツアー」という企画募集に参加することにした。一番安上がりだったからだ。

これが「ツアー」と言っても本当に名ばかりで、要は「乗り合いバス」の要領、自分たちで食料を調達、火をおこし炊き出しをし、テントも無く極寒の荒野にたき火を囲って大地のベッド、満天星のテント、

星は本当に無数に闇を埋め尽くす程に輝き、人工衛星がハッキリと、うようよと言って良いほどの数がひっきりなしに通り過ぎるのがこの目で見え、確かに「大自然満喫」、いや、「大自然大満喫腹一杯」って感じで、

それでもワタシ等は師匠の助言で用意周到、「きっとウルル付近の内陸部は寒いに違いない」と事前に防寒着やら厚手のシェラフやらを持ち込んで「ツアー」から支給された寝袋と重ねて使用したりとぬかりなく、

でも他の日本人の子達は「ツアー」と聞いて安心していたのか(っつーか「ツアー」のイメージがあまりに違うんだよな。外国の現地の「ツアー」、特にアドベンチャー系のソレは要注意。今回のハナシ程酷いのは希なんでしょうが、まぁ食事はどうなのかとか、寝る場所はどうなのかとか、そういうことは事前に具体的に確認しといた方が良いと思いますよん(^-^)。)

別段特別な準備も無く出発地点の気候に合わせたのとほぼ同じ様な装備。それは他の国の子達もさほど変わらなかったんだけど、嗚呼、悲しいかな、日本人の子等にはヨーロピアンのユースの方々の様に寒さをしのぐ高い鼻も皮膚もないわけで、みな寒さで眠れぬ夜を過ごしたと言っていました。

ワタシは持ち込みの装備があったので寝られない、ということはなかったのですが、なんか文字通り一人温々としているのも気が引けて、寒さで起き出してきた日本人の女の子につきあって、焚き火の側で共に夜を明かしたりしました。

ちなみに、その時のコがあの『地球最後の日の前日』に出てきた彫師の友人であり、これはあれから十年もつきあっててこないだ初めて聞いたんだけど、正にあの「ツアー」に参加した時、彼女が豪州にやって来てたあの時こそが丁度例のミケランジェロで壁画家を辞めてブラブラしてる時だったのだそうだ。

彼女は先にワーホリに来てた友人を頼って豪州へ来て、その子と一緒にこの「ツアー」に参加、砂漠にでっかい旅行用トランクがいかにも「ニッポンからやって来ました」という感じで痛々しかった。

彼女は身体のあちこちに素人目にもへたくそなタトゥを沢山入れていて、聞いたら豪州に来てから方々で彫ってもらったものだと言う。おいおい、もうちっとマシなの彫ってもらえよーと心の中で思ったが、言わなかった。

しかし彼女はその後「自分で入れた方が全然かっちょいい!」と彫りものを始めてそれが結局本職になってしまったのだから、あの気の毒な程とほほなタトゥをあの時入れてしまったことも、

アレはアレなりに意味あることだったのだなぁ、げにげに人の世というか運命というかそういうのって過不足がないのだなぁと妙に関心したりした。

とまぁ(ちょっと横道にそれちゃったけど)「ツアー」の様子はだいたいそんな感じで確か三泊四日かけてウルルを目指すっていうものだったんだけど、なんとこの「ツアー」のガイド件コーディネーター件ドライバーの「自称」カウボーイのおっちゃんが出発するなり高い熱出しちゃって、

のっけからなんだかしんどそう、日を追うごと風邪は悪化しよれよれ。もぉ運転するのが精一杯、ほんとウルルにたどり着けんのかよって感じで勿論道中の楽しみである名所旧跡イベントの殆どをすっと飛ばし、

その上というかおまけにというかだめ押しにというか、途中の街で合流したアシスタントの女の子とは不倫関係にあってなんだかワシ等はお忍びデイトのダシにされてる体。

ところがツアーから帰って来てみればそのアシスタントの女の子が給料が思ったより安いとどうやら変な風にキレたらしい、「アレはレイプだったのよ!」とおっちゃん告訴され、ツアーに参加した子達に証言を求め、ワタシにも法廷に来てくれという連絡が来たりした。

全くつくづくワタシは「ツアー」ってヤツに当たらない。(生まれて初めてのとほほツアーは『香港の肉まん。』をご参照下さい)

日本人の参加者はワタシと師匠と彫り師の彼女とその友達のワーホリの女の子、それと男の子が二人、後はヨーロッパの子達で総勢二十人弱、女の子が多くてみんな結構真面目でツアーはほんとしょうもない位ダメダメだったけど、面子はなかなか面白かった。「行き」は。

(確か「行き」はラッキーにも米国人の子が居なかった様な気がする。この辺りのことはまた後日に(^_^;))

それでそのツアーの中の日本人の男の子の一人と話してる時、偶然彼とワタシはごくごく近い所に住んでいるということがわかった。

しかももう少し話してみると、日本での住所も隣町であることが判明。まったく、地球の裏側まで来て同郷の人に会えるとは。そして今現在住んでいる豪州の住所も目と鼻の先だったとは。年も近いしお互い妹が居て妹同士は同じ学校の同じ英文科。旅は不思議だ。(*1)

そんな二人は南半球の砂漠地帯までやって来て、同じ様なことを考えていた。

「にほんのこと」だ。

そして「故郷のこと」だ。

旅に、特に外国の旅に出ると全てが珍しく楽しく奇妙で沢山のことが知りたくなる。歴史や地理、その土地のことば、その土地のくらし、その土地の・・・

アボリジニの人の描いた描画の意味、ウルルの歴史、牛追いの鞭の打ち方、ブーメランの飛ばし方・・・

ガイドブックを読み観光局へ出向き図書館に入りイベントに参加し気に入った土地なら居座って地元の人と交流し、読んで、見て、聞いて、感じて、やってみて、学ぶ。

そこでふと気付く。

ワタシは日本のこと、こんなに良く知ってるだろうか?(*2)こんなにちゃんと興味と関心を持って勉強しようとしたろうか?

日本のことどころか、もっと身近な故郷のことだってどうだろう?八木節の発祥はなんだ?自分も踊ったことがあるか?自分は銘仙を織れるか?織ったことがあるか?木枯らし紋次郎は実在したのか?国定忠治の墓には行ったことあったっけ?

人工衛星が気味悪いくらい通過するオゾンホール直下の赤土の上で、二人は語り合った。

「こんな他人のクニの勉強してる場合じゃないよね〜」
「ほんとほんと、それよりまず自分トコだよね〜」
「こんな、自分トコのこともわかんないで、恥ずかしいよね」
「うん、ほんとそうだよね」

「・・・帰国(かえ)ったら、地元巡りしようか?」
「うん、しようしよう、是非しよう」

「どこからイく?」
「そうだなぁ・・・」

「・・・」
「・・・」

「そだ、上毛かるたツアーは?」
「あーそうだね!上毛かるた!」

上毛かるた」とは、その名の通り上毛野クニの名所旧跡を盛り込んだかるたである。地元の子らはこれをやって大きくなる。

「じゃあ、帰国したら!」
「うん、帰国したら!」
「きっとね」
「うん、きっと!」

かくしてその後「上毛かるたツアー」は二、三度実施され、その後二人とも就職したり引っ越ししたりで今ではたまに正月に会う位になってしまって当初の目的である「上毛かるた全制覇」はまだ達成されていませんが、

ワタシは今でも時々「ツアー」を密かに実行しています。今年(2002年)は伊香保、四万、草津、赤城、志摩、妙義、富岡製糸工場、貫前神社、下仁田に行きました。(温泉つかってるだけって説も(^_^;))尾瀬は予定があったのですが、急遽、お天気の都合で取りやめに。残念。

来年は「上毛かるた」にはないけれど、国定忠治のお墓参りをしてみたいと思っています(^-^)。皆さん、もし宜しかったらご一緒にいかがですか?
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(*1)同郷の男の子
後から知ったのだがこの子は、実はこの「ツアー」のおっちゃんの所へ間借りしてて、で、後にもう一度同じ「ツアー」に連れてってもらったのだそうだ。

その時は「すんごく楽しかった!前と全然違って!」だったのだそうで、おまけにおっちゃんの奥さん(日本人の女性だった)からも「ああー・・・あの時のツアーは特別、ほんっと最悪だった(んだって)よねー(^_^;)私も行けなかったし、あの時は。」「いつもはあんなんじゃないよ!もっとすっごく楽しいのよ!」と追い打ちをかけられてなっからヘコんだ。

ほんっと・・・つくづく「ツアー」には当たらないよなぁ(^_^;)  (*1)にもどる

(*2)日本のこと知ってるか?

知らなかった。むしろヨーロッパの人達の方が詳しくて質問に答えられなかったこともあった。関連→『旅の、ことば。「伝わる」編』  (*2)にもどる

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