バックナンバーというか在庫集
* ナゾのジャパニーズ・スマイル *
(メールマガジンでお届けに上がる商品のほんの一例です。)
 国道17号の確か下りだったと思うんだけど、大宮か熊谷かそのヘンの道路脇に突如

へらへら

とでっかく筆文字で書かれた巨大な看板がある。

なんか、「神秘珍珍ニコニコ園」

ペット

に通ずるモノがある書体だが、最初に見た時は大笑いしてしまった。だって

へらへら

だよ。なんかスゴイへらへらじゃん(^_^;)。
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 ワタシは普段結構へらへらしている人で、看護学校の時は先輩のナースから「へらへらしてるんじゃありません」とか「えへへじゃありません!」とかよくお叱りを受けたのですが、旅先では違います。

コレは、外国生活の基礎(?)を学んだのが香港だっていうのもあるのですが(今は大分違うのかもしれませんが、香港の、特にお店の人は恐らく儒教的精神から来るのでしょう、愛想笑いなどしないのです。それを日本の人が見ると大抵「怒ってる」と感じる様ですが、別に怒っているワケでは無いのです。強いて言えば毅然とした立派な態度なのです。まぁ、本気で日本人をキライな人も沢山いる様ですが(^_^;)観察してみると香港人のお客にだって愛想笑いなぞお店の人はしていないのです。)

・・・ちょっと横道にそれましたが、旅先では「毅然とした態度」コレが結構重要だと思うのです。特に女性。

日本では女性はとにかく朗らかにしている事を望まれています。

旧ユーゴスラビアの難民キャンプにボランティアに行った時も、ユーゴの女子学生の方に

「日本のフ○TVの人に取材を受けた時、もっと笑って、笑って、と何度も言われました。戦争で大学に行けなくなってしまった事を話してくれと言われたのに、どうしてそれを笑って話せるのですか?」

と言われた事もある位です。

普段、ワタシ達はこんな風に微笑むことを誰に強要されているワケでは無いのですが、そういった風潮というか慣習というか文化というのかもしれません、まぁ、そういうのがあって、そういう振る舞いが自然とワタシ達には身についている様なのです。

特に白人社会で不思議に思われるのは、嫌な事を嫌、という時にも日本の人は笑っている、というコトみたいです。不服な時も、嫌な時も、NOという時も笑っている、コレは彼等からしてみたら『ナゾのジャパニーズ・スマイル』なのです。

特に、しつこいナンパや勧誘は、貴女が本当に嫌なのなら毅然とした態度で断りましょう。へらへらしてないで、嫌な顔を作ってイヤと言った方が効果的です。

女性だけではありません。

男性も結構外国でへらへらしているのを見かけます。

男性、特に関東圏の男の子には、カッコつけ故の「へらへら笑いが目立つ様に思います。
相手の言っているコトがよく解って無いのに、それを問いただすのがカッコ悪いから何も聞かずにへらへらと承諾してしまう。

色んな人を観察していると、そのヘンは女性の方が開き直りが早いみたいで、とにかく下手糞でも単語の連発でも何でも、よしんば通じなくても、とにかく相手に言ってみて、コミュニケーションを取ろうとしている人が多い様に思います。

ハネムーナーの男性が、無理矢理何かを法外な値段で売りつけられているのにも関わらず、一向にへらへらばかりしているのを見かけると、ナリタ離婚も、なんか合点が行くというものです。

ワタシは何年か前、当時付き合っていた彼とアメリカ大陸を車で横断したコトがあるのですが、彼もずっと『ナゾのジャパニーズ・スマイル』でした。

具体例を挙げると、

店員に高い靴を売りつけられて、本人はもっと安いのでいいのにな、と思いつつも買わされちゃって、それだけならまだしも高いお金を払うっていうのに靴屋に完全にナメられちゃっててすっごい失礼な態度をとられているにも関わらず、彼はカオを赤らめてへらへら

日本で予約したレンタカーを取りに行く時、「君は25才以下だから車は貸せないよ」と突然言われた時もへらへら。(ちなみに、すったもんだで何とかレンタカーは受け取れたのだがぶっ壊れてて後日交換した。)

いつもワタシばかりこき使われるので「たまには宿屋の(値段を確認して)チェックイン位して来てよ」と頼んだ所、彼は車を降りて初めて一人で最寄りのモーテルのフロントへ行ってくれた。が、何だか満面の笑みを浮かべて戻って来た。

見ると手に小さな紙切れを持っていて、そこには下手糞な米国人の字で「128+TAX 10.25/138.25」と書いてあった。138.25はご丁寧に○で囲んであって、それが宿代なのは一目瞭然。通常、何処でも30$ちょっとで泊まれていたモーテルが、138ドル。当然ボラれてるって彼にも解ってるのに彼はへらへら

と、こんな風に彼の『ナゾのジャパニーズ・スマイル』に半ば呆れて自分では十分気を付けているつもりだったのに、ある日、ワタシもへらへら

ファーストフードの「ケンタッキーフライドチキン」で、ワタシの英語がナマっていた(日本語ナマリの上にオージー弁)らしく、注文を聞き取れずに動揺した店のお兄ちゃんが、機関銃の様に米語でまくしたてて来た。

眠かったし、腹も減っていたので相手の言っているコトが瞬時に解らない。(だいたい10分後位に理解する状態)それなのに次々とことばを足されてしどろもどろ、頭はパニック・・・その時はワタシもへらへら

その時、『ナゾのジャパニーズ・スマイル』は、パニック状態の時の(こころと脳の)飽和状態に起きるんだなぁと体感した。(でも、なんでパニくると日本人って笑ってしまうんだろう。)

まぁとにかくこのように、どうも日本の人は無意識に微笑むクセが付いている様なのです。

ワタシはそれはとても良い慣習(文化)だと思うのですが、旅先ではちょっと注意が必要かもしれません。貴方のその、『ナゾのジャパニーズ・スマイル』が、貴方の旅に思わぬトラブルを呼び込んでしまう可能性だってあるからです。

ワタシは、旅先ではたとえ初めて見る道でも、もぉ何十年も前から知っている様なカオをして歩く様にしています。地図は人前では開かず、あらかじめ人目に付かない所で見て覚えておきます。

そして、カオは(スタンダードの顔である)「へらへら顔」にならない様に気を付けるのです。それは「毅然とした態度」、そして「危険を予防している」とアピールするのに効果的だからです。

ワタシは旅先であまり盗難や怖い目にあったコトがありませんが、宿屋に残したサイフからお金を抜かれた事(については『南国の猫・前編』をご参照下さい。)と、マレーシアかインドネシアで、バッグ代わりに肩からかけていた風呂敷をナイフで切られたコトがありました。

その時の自分を思い返してみると、やっぱり油断している時というかうかれている時というか、やっぱり『へらへら』している時なのです(^_^;)。

旅先では「危険なコト」に沢山出会ってしまう可能性もあります。でも「毅然とした態度」と「危険の予防をアピール」するコトで大分違って来ると思います。

『へらへらしない様に気を付ける』だけで、なんか一見スキがない様に見えるので、コレは是非おススメです。

そうそう、余談ですが北米を一緒に旅した元カレは、靴屋の時も、レンタカーの時も、モーテルの時も、そしてお世話になったお宅の人(スウエーデン系米国人)に、夜

「明日、もう君たちは旅立だってしまうんだよね。でも明日の朝、俺早いんだ。だから今お別れを言っておきたいんだ。」と言われた時も、一貫して、

「オレがさ、畑の中を歩いていると東の空がパッと明るくなったんだ。そんでもって気が付くとそこから、そうだな〜、15メートル位離れた所で倒れていた。オレだけじゃないんだ!!その向かいの酒屋のジョンもそうだ。そいつならもっと詳しく知ってる筈だ!!・・・××○○××」

と聞こえていたそうです。

(そんなワケで、その日の晩は「お別れ」が出来ずにお互い寝てしまい、そしてやっぱり次の日も彼は朝寝坊して、その人が恐れていた通り、そのまま会えず終いで「お別れ」になってしまいました。)

しっかし・・・米国の人がべらべらと米語で話してる時、そんなナレーションが耳の中で聞こえてたんじゃ、そらへらへらもするわな(^_^;)。

P.S.
書き忘れましたが、17号の

へらへら

は、どうやら「へらぶなつり」の“へら”らしいです。