* 般若犬〜北極圏犬ゾリツアー〜 その6 *
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しみじみと美しい、見渡す限りの銀世界。マイナス30度以下の極寒の北極圏の山の中、針葉樹林の樹氷の中を犬ゾリはすす・・・まなくって、犬はへばって人間様がソリを押す始末(^_^;)。
そんなハードな犬ゾリでのロケがやっとこさっとこ終わりました。
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*前回、「ロバニエミ」という所で犬ゾリに乗ったよーなコトを書いてしまったのですが、実はこの日はロバニエミから更に車で北上、「イバロ」という所で犬ゾリに乗った様です。
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死にそーになりながら犬ゾリの撮影を終えたワタシ達はイヌイットの人が住む様な大きなかまくらみたいな雪のドームの家の中でお食事です(^-^)。

確かそのドームのお家に行く途中には、氷をくり抜いて蝋燭立てにしたものに固形燃料を入れて灯したものがぽつん、ぽつんと置いてあっ(たと思った)て、すっごくろまんちっくでした。

フィンランドのお家では、こうして外に火を置くだけで無く、お家の中でも電気の他に必ず蝋燭や固形燃料を置いたりして、必ずホンモノの「火」で“明かり”を置いていました。

それがなんかとってもあったかくって、もちろん、暖を取るっていうコトだけでなく、すごくこころが暖かくなるような感じで、極寒の中で共に生きて行くコトや、火に感謝している様な感じがにじみ出ている様で、それがまたあったかいフィンランドの人らしくてすっごくイイナと思いました。

同行スタッフの中の照明のプロの人が、やっぱりこの“明かり”について

「みんなライト・マンなんだなぁと思って」

と感激したと言っていました。


・・・ドームの中はたき火が焚かれ、丸太に釘で打ちつけたゴーカイなシャケの切り身(っていうか塊)をかざして焼いています。

それにホワイトソースをかけてジャガイモの添え物・・・

すっごく美味しかったです。美味しかったのですが・・・

フィンランドでは、ワタシは三食三度シャケと言っても過言ではありませんでした。と言っても撮影の関係で食事がとれないコトも沢山ありましたし、シャケにありつけないコトもありました。

食事がシャケじゃない時・・・その時のオカズは決まってトナカイの肉でした。

っていうかトナカイの肉がメインで、ヨツアシの食べられないワタシ(については『よだれの出る瞬間』)は、その時(トナカイがゴハンの時)の食事はヌキ同然でした。

んで、たま〜にトナカイの肉とシャケの選択権を与えられた時だけ、シャケ(というかゴハン)にありついていたのです。

偏食は多いなれど、(食べて吐いたり気持ち悪くなったり頭が痛くなったり喘息出たりしないで)食べられる物はなんでもおいし〜くいただくワタシなのですが、流石に最後の方はシャケを見るとウンザリ・・・って感じが正直していました(^_^;)。(ゴメンナサイ(>▽<)!)

オマケに・・・見てしまったんですヨ。あのシャケの実態を。

って言っても大したコトないんですが、当時のワタシにはショーゲキだったんです。

お家に隣接する納屋みたいな所に、むぞ〜さに置かれたきちゃないブリキのバケツに投げ入れられていた、シャケのどでかい塊を・・・

シャケは無数のゴミと一緒にカチンカチンになっていました(^_^;)。

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シャケを焼いてくれているのは、現地スタッフのいかついおじいさんに近いおじさん。(でもフィンランドの人って実年齢よりも大分上に見えるのでもしかしたらまだ若い方だったのかも)白いお髭がぼうぼうで、器用にこれまたいかついナイフを使って何でもします。

フィンランドの人達はこの人に限らず、ナイフと、そして“明かり”をとても大切にしている素朴な人々ばかりでした。

・・・食事をするのに貸していただいたスプーンを良く見ると、そこにハスキー犬の顔ががりりしく刻まれていました。

思わずシャケのおじさんにおもわず「コレ譲って下さい!」と言うと、シャケのおじさんは固まっていました。

今思うと、そのおじさんはワタシの言った意味が分からなかったから固まっていたのかもしれないし、それともそれが本当にすごく高価な物でワタシが軽々しく「くれ!」なんて言ったからマジでムッとしていたのかも判らないし、

はたまたツアーで来る客にこれからもずっとコレをプレゼントしなければならないと思って嫌だなぁと思ったのかもしれないし、それともちょっと怒ったフリをして黙ったのかもしれないし・・・今となってはどういうワケでそうしたのか不明なんだけれども一瞬おじさんは固まったのでした。

するとまず同行添乗員の人がワタシを怒って、続いてスタッフ全員がワタシに向かってやいのやいのと言い出して、(その頃はワタシもまだまだほんの子どもだったもあって)ワタシはめちゃくちゃ落ち込んでしまいました。

でも当のおじさんはというと、固まった後ににっこり笑ってそのスプーン(と他にも何か頂いた様な気がする)をワタシと友人に渡してくれたのです。

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今思うと、ワタシもスタッフの人達も疲れがピークになっていたのでしょう。

普通、こういうお仕事の人というのは、一人、一人、個室があてがわれるのだそうですが、このロケではワタシ達はモチロン、スタッフの人達も皆相部屋で、撮影隊の方達はそのことだけでもすごくストレスだった様です。

で、前にも書きました通り、マイナス30度の中、ロケは変更変更でちっとも先が見えない状態。ストレスも溜まるってモンです。

それであのかまくらの中でそのイライラが爆発したのだと今では思うのです。

でもその時はワタシも疲れていたし、スタッフの人達がやいのやいの言ったコトに、必要以上にこたえてしまって、すっかり意気消沈してしまいました。

その矢先、次の撮影のスケジュールが言い渡されました。

今夜はフィンランドの伝統的なサウナに入って、そしてなんと湖の氷を30センチも切って穴を空け、その中に飛び込め!と言うのです。

「現地の人はみ〜んなやってる!」

と言うことで、湖まで下見に行きますと・・・

空気まで氷りそうな寒さの中、夜の湖のほとりには人っ子一人いません。(当たり前だ!)

(本当ならここでオーロラを見ているはずなのに・・・)

今は満月。オーロラは見えっこありません。それどころか、もう何時間か後にはこの原生林の中の分厚い氷でふたがれたこの湖に、裸で飛び込めと言われているのです(;_;)。

(ここで「オーロラが見えなくって残念!」「新婚旅行では見たいね!」なんて小芝居をまたやらされた様な気もするのですが・・・記憶が確かではありません。)

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(マ・・・マジで死ぬ・・・)

ワタシは「絶対(この極寒の中湖に裸で飛び込むなんて)出来ません!」と言い張りました。

(TVってなんっって人権の無い世界なんだ。本当にびっくりだ。もう二度と嫌だ!と、その時固くこころに誓いました。その後、全く別件で香港のTVのお仕事のお話しがあったのですが、2ツ返事で・・・お断り申し上げ逃げ帰りました。)

どー考えたって、マイナス30度の中、しかもこれからどんどん気温が落ちて行くってゆーのにいっくらサウナに入った後だからって、この分厚い氷を割って湖なんかに飛び込んだら死んじゃうよ!

(第一、現地の人だって家に引きこもって出てきてやしないのに!)

でもスタッフの人達も譲らず、なんだか険悪な雰囲気です。

・・・そして反対しているのはワタシだけ。友人はスタッフの顔色をうかがってか賛成も反対もありません。

なんかまるでワタシ一人がしょうもないワガママ言ってるみたい。でも常識で考えて尋常じゃ無いと思うんだけど・・・?!

とほほなワタシは先程の雪のドームの一軒と重なって、部屋に引きこもって泣いてしまいました。


(その7につづく)